今日は米国や中国など世界の10か国以上で特許が取れている、
タイトニックという金物の話しをしてみたいと思います。
「木」と鉄筋を緊結するのにボルトで締めるのですが、ボルトは頭が小さく抜けてしまう恐れがあるので、座金という金物を挟んでボルトで締めます。
一番右が一般的な座金です。
9割以上の会社がこれです。
私が使っているのが一番左のプラスチックが付いているものです。
中がバネになっていて、一度締め付けたものが小さくなったとしても、6ミリまではバネによって締め付けてくれます。
「木」は生きています。呼吸しています。
伐採して柱などになったとしても、ずっと呼吸を続けます。
人間は食べると太り、食べないと痩せます。(そうでない人も沢山いますが、ここでは分かりやすく笑)
「木」も水分を含むと膨らみますが、水分を含まないと痩せていきます。
建築資材などにすると、濡れない限りは湿気は吸いますが断然乾燥する割合の方が大きく、一般的に木は痩せると表現します。
では、一度きつく締めたボルトが木が痩せるとどうなるか。
ただ緩むだけです。
太っていた人が痩せたらベルトが緩くなる状態です。
緩くなった金物の緊結で耐震性は?
ひねくれた考え方をしなければ、一般的にきつくしまっていた方が私は強いと思います。
私がなぜ、こんな小さな金物にクローズアップしたかというと、耐震補強工事やリフォームでの経験です。
必ずと言っていいほどボルトは緩んでいます。
解体部分や潜っていけるところはきつく締め直せますが、行けないところや外周部はそこを解体しない限り緩んだままです。
結局、新築時は強かった家も10年、20年、30年と時間が経つにつれて「木」は痩せていき、ボルトが緩んだら耐震性も落ちていくのでしょう。
地震などの振動で揺れが大きくなったら大変です。
お客さんにはずっと安心して強い家に住んでもらいたいという思いで探していたら、こんな金物に出会いました。他にもゴムで木痩せを追従する座金もあったのですが、特許は日本国内のみらしく、それなら世界で認められてるほうが安全かと思いタイトニックを使用しています。
「今は集成材や低温乾燥が多いから木痩せや狂いはほとんどないよ」
と言っていた人もいますが、その人が感じたことを言っているだけで根拠はありません。
私は科学と実験と経験を信じる人間なので、実験で木痩せに追従しているのを、まして世界が認めているのを証明できているのですから、使わない理由がありません。
今や私の建築に欠かせない金物の一つになっています。