屋根の仕上げ材には、瓦、スレート、金属系などいろいろありますが、
本日はその内側にある下地材について話してみたいと思います。
一般的には屋根の傾斜に沿って垂木という部材を約45センチ間隔に取付、
それから野地板。
30年ぐらい前までは無垢材が主流でしたが、現在は合板がほとんどです。
そして防水紙。
最後に仕上げ材となります。
まず、垂木という部材についてはその工務店のデザインや設計士の意匠により、
30センチ間隔だったり90センチ間隔だったりといろいろあるので、
そこはそれぞれで良いと思います。
次に野地板ですが、ここから長持ちする家かどうかの大きな分岐点になると私は考えてます。
長持ちの家づくりのポイントは数多く存在しますが、屋根は雨漏りさせない大事なポイントの一つです。
現在多くの会社が12ミリの合板を使っています。
合板は3ミリほどの板を交差するように糊で圧着したものですが、水に脆く、湿気に弱いです。
これは建築に何年も携わっている人なら分かると思います。
では、水に脆く湿気にも弱い合板を、なぜ多くの会社が採用しているのか?
それはコストだと思います。
一般のお客様は見学会などで内部のキッチン、お風呂、間取り、収納などを見て感激し、「うちもこんな家に住みたい」と思って契約するのでしょう。
屋根の下地について質問する人は一人もいません。
暖かい空気は上昇します。
その空気には、体内から出た二酸化炭素や、梅雨、夏場の湿った空気が混じっており、小屋裏へ行き合板と接触します。
湿気の粒子は水よりも細かいので、2階に天井があったり、どんなに密閉しても必ずすり抜けて合板に辿り着きます。
合板に辿り着いた湿気はさらにすり抜けようとします。
しかし、ここでも障害があります。
合板の上に敷いてある防水紙です。
アスファルトルーフィング、改質ゴムアスファルトルーフィング、
粘着層ルーフィング、高分子系ルーフィング、透湿防水ルーフィングなどいろいろありますが、ほとんど、まず指定がなければアスファルト系です。
アスファルト系は石油精製製品で、湿気を通してくれません。
逃げ場を失った湿気はどうなるか?
合板に染み付くだけです。
湿気のある日にレインコートを着て、ベタベタしているのに脱ぐこともできず、
ただ気持ち悪い。
それが屋根で起こっています。
(実際には屋根だけでなく、壁内部にも湿気が行きますが、
ここでは屋根だけで、壁は今度に!)
しかも、防水紙として湿気は通さないけど雨は入らないかと思ったら、そんなことはなく、劣化してくるのです。
新築で指定がないと「アスファルトルーフィング940」が良く使われますが、
耐用年数が約10年ぐらいと言われています。
アスファルトの融点は約50度と低いため、屋根が高温になると柔らかくなり、逆に低いと硬化して柔軟性が失われます。
これを繰り返すと劣化が進み、ひびや亀裂が入って防水効果も失われます。
道路のアスファルトに亀裂があるのと同じです。
夏場の高温と、冬場の冷えた屋根。
どのようにすればこの過酷な環境で屋根を守ってくれるのか?
次回に続きます。